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【イベントレポート】『俺たちのBL論』刊行記念トークイベントに参加してきました

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2/7(土)に神田神保町東京堂にて開催されたサンキュータツオさんと春日太一さん共著『俺たちのBL論』刊行記念トークイベントに参加してまいりました。
 
いや、もう非常に面白かった。
 
『俺たちのBL論』というタイトルからもご察しの通り、この本は男性であるお二人がBLについて語っている著作であります。
 
厳密に言うと、腐男子であるサンキュータツオさんが、「BL何それおいしいの?」状態だった春日さんを腐男子として目覚めさせるまでを描いた本でございます(対談形式)。 ドキュメンタリーです。キリッ
 
俺たちのBL論

俺たちのBL論

 

 

そして本の中でもそうなんですが、イベントでも春日さんは完全な腐男子となり解脱し高みに登っておりましたw タツオさんはもちろん”プロ感”あるんだけど(さすが我らが最終兵器・カネジュンこと金田淳子先生が水先案内人をしていただけあるw)、春日さんもご自身が時代劇研究家だけあって、BLを語るときも自分なりに分析し言語化されていて、自分のBL論を既に確立していたので、話を聞いていて気持ちよかったです。
 
このイベント参加者の半数ほどが男性で結構びっくりしました。 昨年に溝口彰子さん著の『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』のチャリティイベントに参加した際は8割が女性だったので、やはり今回のターゲットとしている男性にちゃんとこの本が届いているだなぁとしみじみ思ったのでした。
 
BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす

BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす

 

 ※『俺たちのBL論』でも参考文献として紹介されています

 

 

 

ここからは、イベントの中で心に残ったエピソードを脈絡なく記載します。

 

 
▼前半戦
 
イベントしょっぱなから飛ばすタツオさん。
今回は、東京堂さんで本を購入した人のみサインを受け付けるとのことで、既に買った人は布教用でと春日さんは普通なこと言ってましたが、2冊買って妄想してくださいとタツオさんがぶっこむ。「”お兄さんBL論”と”弟BL論”を受け攻めで、、」とか言ってて早い!なんて早いんだ!!wと思った。
 
なぜ今回春日さんを巻き込んだのか? もともと腐男子のタツオさん(ただし諸先輩方からは”腐女子”との認定をうけている)。 一人でBLというこの深淵に迷い込んでしまいこん棒のみで冒険を続けていたが(なんて心細いw)一緒に冒険をする仲間・パーティが欲しくなり春日さんを勧誘。 春日さんにとってBLは食わず嫌いの文化だったそうで、でもタツオさんがここまでハマるから面白いんだろうなと気にはなっていたとのこと。 うん、見事ハマったわけですな!w
 
『俺たちのBL論』の著者近影の写真を前日のイベントでファンの方がイラストにおこしてくれたようで。 それがべらぼうに素敵なBLイラストに昇華されてて爆笑w お二人ともめちゃくちゃスマートなイケメンに描かれていました。 もちろんお二人もすべてわかっているわけでして、それを全力で受け止めているんですよ。 
「このイラストには補正がかかっていて、明らかに違うところが2箇所あります!」と春日さんが言っておりました。 どこが、とは言ってなかったですけど、実物の写真との違いから物語が始まる。。とのことで(タツオさんがこれを描いた人にとっては、この違いが物語の始まりなんでしょうね~みたいなことをおっしゃっていて感慨深いものがあったw)。 まぁ言ってしまうと春日さんが攻めだと分かるようなイラストなんですね(二人が立っているだけなんですけど)。 ただ、クロヤギさんは(前日のイベントで共演していた芸人さん)は、春日受けだから激怒!らしいw タツオさんがヘタレ攻め、とか自分たちで言ってるところがさすがでございました(笑)タツ×カス? カス×タツ? それは大事な問題だ。。
 
そんな春日さん受け派のクロヤギさんは、「なり茶(なりきりチャット)」をやっている。。と、急になり茶の話が放り込まれてびっくりした。 お二人が初めてなり茶という文化を知った衝撃を語る。 彼女たちはなり茶の話をしているにもかかわらず、話してることは完全に恋バナだったと。 しかもその話を理解できるし、むしろ現実の恋バナとイコールに聞こえることのすごさ。 彼ら・彼女らは空想の恋愛をしているのではなく、空想の中で本物の恋愛をしているという春日さん。 春日さんが暗黒期になり茶の存在を知っていたら完全にネカマとしてログインし、なり茶廃人になってたと断言していた。 マリみてのなり茶があったらヤバいとw
 
ARの略をアナルライジングってやめてほしいw 【意味】目覚めること  って爆笑w
 
藤子不二雄先生の自伝的漫画『まんが.道』を例に、BLメガネをかけた状態の説明(『俺たちのBL論』の中で、BLとして物語を消費することを”BLメガネをかける”と説明している)。メガネをかけていない状況ではスルーしていたことがスルーできなくなっている。学生時代A先生を待つF先生の立ち方ww もう完全に彼氏を待つ女子。 後ろ手に組んで、足を交差。 やりとりも完全にデートだった。 これはバディじゃねえ!と。 あとコミック裏のあらすじがすでにBLって話なんだけど、これ読んだら手塚治虫どんだけすごい攻様なんだって思うよね!ってタツオさん。 でも間違いなく手塚治虫はスーパー攻め様の部類に入るかもw 住んでるところは別に高級マンションじゃないけどさ、精神性で言えば最強のスーパー攻め様な気がするw
 
そもそも、男子二人の関係性ってすごくグレーで、グレーの感情をバディ感と称して普通は友情フォルダに入れるんだけど、BLメガネをかけると恋愛フォルダに入れることができるし、入れてしまう。 そして実は恋愛フォルダのほうがすごくすべての説明がすんなりいってしまう。 これこそがBLメガネで世界を見る楽しさだし、輝いてみえる一つかと。
 
BLは山水画。 余白を楽しむ。
 
このカップリング萌える/萌えないは4つのタイプに分かれる。 自分自身が好きなカップリングはどれかにはてはまる。
 
■キャラ型
単体キャラ萌え。キャラと相性のよい相手を見つけ萌える。
 
 ■ドラマ型
感情移入できる関係性(ドラマこみ)
 
 ■相互補完型
コンプレックスに共感
 
 ■母親型
あたしが見守らずに誰が見るっ!
 
どれに萌えるか否か。 個人的にはキャラ型です。ドラマ型も多少。 実はあんまり母親型は分からない感情だったり(タツオさんは『Fr.ee!』でこの境地に達していらっしゃったw)。
 
春日さんの中にはずっと得体の知れない正体不明の巨大なモンスターが心の中にいて、その正体がなんだったのかを考え続けていた。 実はその正体がBLを読んで分かった。 「面倒くさい女」だったと。 面倒くさい女とは、自己認識で自分のことを面倒くさいと思っている女。BL読む女子はみんな面倒くさい女だよ!と春日さん。 まあそれはすごく分かるw  タツオさんが最初にそれ聞いて、サンリオの公式ツイッターをRTするのは面倒くさい女なんですかね!?って言ってて爆笑。唐突にタイムラインにシナモンやキキララのツイートが!と思うとだいたい春日さんがRTしてるからねw
 
ブレーキをかけずに男性の皆さんはBLを読んでほしい。春日さん

 
▼後半戦
 
課題図書の『羣.青』をめぐってタツオさんと春日さんのBL観がぶつかる。 (春日さん怖いよw)って誰もが思いその熱量に押されて思わず会場に笑いが起きるほど。 春日さんにとって、濡れ場においてリバーシブルができないのはBLではないと。つまり穴と棒をどちらも持っているということがBLである。関係性においてどちらも真であり、50:50の関係性がBLってことなんだと解釈。 『羣.青』は、その関係性ではない・なれないってことを女性二人が真っ向からぶつかっている作品だから絶対BLじゃないし、この作品をBLとか百合とかなにかにカテゴライズした時点でこの作品を本当に好きなファンから怒られると。この話の中で、BLの定義って人それぞれ違うし、それぞれが見える景色が違う。 その多様性を認めようよっていうのがタツオさんの論。 そしたら自分が思ってもみなかった萌えボタンが押されるかもよって。 確かに、結構好きなカップリングでも逆だっただけで「ないわー」で切りがちですが、新たな発見もあったりするわけで、可能性を広げるためにも間口を広く取っておくことは悪くはないことかと思いました。
 
少年漫画は行動とセリフしかない。見えてこない「心のコマ」を埋める作業がやおいやおい≒2次創作)。 もしかしたら『北斗の.拳』のラオウも心の中ではいろんなことを考えているかもしれない。 でもそれを「我が生涯にいっぺんの悔いなし」というセリフ1でだす。100を1でしか出さないのが少年漫画で、腐女子たちはその余白を想像し萌えるんです、と。これは本当に分かる! 空白がないと萌えないし、二次創作が活発にならないというのが自論です。
 
BLメガネをかけることで拡張した世界。 しかし縮小した部分もあるのでは。 本来熱くなるべきところでニヤニヤしちゃうようになった。 キラキラしている子たちを陵辱していいのか!?と自問自答。だからなるべくやおいにしないようにしてるというタツオさんがかわいかったw。これ、個人的に『ハイ.キュー』がそれです。 もうこの子たちをやおい的目線で見るとかダメでしょ!?という自制心が凄まじくて、私はいまだにこの作品のそういった創作物は苦手です(笑) まぁ、一粒で二度美味しい状態が望ましいよね、と。 メガネをかけて外して、ね。 レーシック手術しちゃうと大変なことにw
 

▼アンケートから質問に答えていくハイライト
 
BLメガネをかけるとことのほか面白い!春日さん
 
剣豪には余白が多い。無口が多い。でも確かに時代劇なんかは萌える要素がかなりあるよなぁと。春日さんの話を聞いているだけで萌えるところが多々。
 
NBAのステファンカリーみて!見た目受けだけど攻め様!タツオさん
 (NBAを語るときのタツオさんの共感されなさ具合が最高に好きw)
 
クリードにBLメガネは邪魔ぁっ!春日さん
(非常に面白かったw)
 
恋バナに”要するに”とか”つまり”はいらない。ダラダラと喋っているのが面白い。ダラダラと喋っていたい。恋バナのときは結論を出す気はないんだ。男子ダメだよそれ!!春日さん
 
「体格大きい=攻め」って発想は昭和の腐女子らしいですww
まぁね、体格大きい人がプロレスでも野球でも、どんなジャンルでも強かったんだけど、今は体格とか小さい人でも活躍してるしね。カリーは体格的には小さいらしいけど攻め様らしいよw 
  
 
 
▼イベントを振り返って
 
とにかく盛りだくさんで、本当に楽しく素晴らしいイベントでした。 また3月にも予定しているみたいでぜひ参加したいです! オススメBLレコメンド会も開催を予定しているようでこれからもお二人の活動に目が離せません。
 
多分今回のイベントにはBLを深く知らない方が一定数いたと思っています。 それは、「なり茶を知ってる人」って投げかけがあったときに2割くらいの人しか手を挙げなかったことから推測。 なり茶の存在ってBL・やおいの世界(とくにやおいの世界)にいると必ずと言っていいほど出会うものだと思っていて(自分がやるやらないに関わらず)、存在は目にするはずなんですよ、それを知らない人が多いってことはかなりこの本を読んでBLを知った人が多いのではと予想しました!!! それってすごいことですよね! 確実にこの本のおかげでBLの素晴らしさが世に伝わっている!!
ただ春日さんがこの本を出版してから売れないでほしいと思い始めたと(笑)
家族にも周辺関係者にもこの本を出版したこと言ってないって言ってました。それをタツオさんが、「奇しくもロマチカの美咲が、アニメになっときにCMでみんなみるなーって言ってたんですよ」とつっこんでて、さすがwと思った(笑)
 ※タツオさんはロマチカを観てBLに目覚めたのです
 
青春時代からハマっていなかった。だからBLに今ハマる楽しさをお二人は語っていた。 すごく楽しいし、大事にしていきたいという思いが伝わってまいりました。
 
 お二人のお話はとても明快で、かつ決して人を選ぶものではありません。 すごくBLという文化に真っ正面からぶつかり語っていて本当に心から楽しむことができました。 多くの方にこの文化に触れてもらえたら嬉しいですな!
 

▼サインもらいました! 嬉しい。
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