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【夢色キャスト】コミカライズ第7話で朝日奈響也の恋愛ドラマ第一部が真の意味で完成した【ネタバレ感想】

 マンガParkで不定期に更新されている夢色キャストのコミカライズ。ついに、朝日奈響也に焦点を当てた第7話が更新されました。
 もうですね、その大変素晴らしい内容に、私は膝から崩れ落ちました。ここまで丁寧な作品作りには頭が下がります。

 とめどないパッションが溢れて止まりません。いつものように脈絡なく長文感想を綴りましたが、朝日奈響也の恋愛ドラマ第一部に関してネタバレ全開ですので、お気を付けください。

▼公式サイトはこちら
manga-park.com

感想、ちょっとその前に

 そもそも、私のメディアミックスに対してのスタンスは、原作との線引き です。「原作ではこうなのに云々」という考えは捨て、メディアミックスはメディアミックスとして楽しむ! それ単体としてどれだけ完成されているか・成立させられているかを考えています。

 なので、可能な限り、原作の世界観や設定を持ち込んでメディアミックスの作品をあれやこれやと語らない様にしているのですが、今回のコミカライズ7話は、本当に、もう、なんて言いいますか、その考えを取っ払ってきやがりましたよね(褒めてます)。考えに考え尽くされたその内容は、脚本家(とくに朝日奈響也好き)へのアンサーでした。

 
 一個人の意見ですが、朝日奈響也の恋愛ドラマ第一部って、ストーリーも中の人の演技も大変・大変素晴らしいのは大前提で、あともうちょっと……!と感じられる部分もあって。しかし、今回のコミカライズはその足りない部分を補填と言いますか……。原作の内容を取り込んで咀嚼して、その上で別角度で照明を当ててみたら、別の見え方になっているというか。とにかく、ゲームの恋愛ドラマと今回のコミカライズで、とうとう朝日奈響也の恋愛ドラマ第一部が全方位で完成したな、という感じがしたのです。  

 今回は、何をもってそう感じたのかをまとめてみました。


▼参考:朝日奈響也の恋愛ドラマ第一部の感想記事はこちら
kenmi3411.hatenadiary.jp


コミカライズが描いたものとは

 そもそも、コミカライズは各話が同じ世界線上で描かれているので、テーマを主人公まどかとの恋愛に収束させていないんですよね。これが結構肝だな、と思っていて、ゲームではがっつり主人公との恋愛成就に向けて話が収束する一方で、コミカライズでは各キャラクターの恋愛ドラマをどのように昇華するか、が見どころだと思っています。

 基本的には、主人公がどのようにして夢色カンパニーという劇団の一員として認められていくか、またメインキャスト陣との関係性の深耕が各話共通かなと。ま、そのうえで「お」と思わせるような描写(恋愛的に見て)もあったりするのですが、恋愛関係に発展するという一線は超えない というのは頑固として守られています。


 では、朝日奈響也編では一体何を描かれていたかというと、それはもう、朝日奈響也の成長にほかならないと思うのです。

 朝日奈響也が「父親の劇団を受け継いだ主宰・朝日奈響也」から「夢色カンパニーを背負って立つ主宰・朝日奈響也」へと変わっていく。真に、自らの意思で夢色カンパニーの主宰として立ち続けるという覚悟を決めた物語が、このコミカライズだと思っています。

 もちろん、今書いた内容がゲームの恋愛ドラマ(以降原作と表記)で描かれていないわけではないんです。ただ、「血のつながっていない自分が、主宰を務めてよいのか」という問いに対して、原作の着地は「血のつながりよりも濃い家族の絆」で終わっていたなと。

 過去の記事から引用すると、

父さんとはミュージカルへの想いでつながっているんだと。血のつながりよりももっともっと濃くて、大切なつながり。

【夢色キャストプレイ感想】響也の恋愛ドラマ感想!響也本当に大好きだー!【ネタバレ注意】 - JKけんみは二次元がお好き

 
 これが、原作の答えだったと思います。
 
 これはこれで、もう大満足の答えです。それでこそミュージカルの申し子・朝日奈響也! と拍手喝采なわけです。
 
 ただ、原作はここで一端響也の成長を止めて、残りはまどかとの恋愛方面へシフトするわけです。そりゃそうだ、だってこれ、恋愛ドラマだから! もうね、万年筆を渡すところとか、近いから! きみたち近ぇよぉぉぉ(崩れ落ちる)みたいなパッションがあって大変素晴らしいのですが、コミカライズは前述したとおり、そこに一線引いてますから、朝日奈響也がもう一皮むけたところまで描き切っているわけです。


 それが、「父親の劇団を受け継いだ主宰・朝日奈響也」から「夢色カンパニーを背負って立つ主宰・朝日奈響也」へと変わっていくということ、なのではないかと思うのです。

クライマックスの描写に見る響也の覚悟と新生夢色カンパニーの誕生

 コミカライズは「PRINCESS KAGUYA」の公演前後を舞台に物語が繰り広げられているので、クライマックスは「PRINCESS KAGUYA」の劇中。とにかくこの盛り上がりが凄まじいです。
 

 劇中の皇子を演じながら、響也は振り返る。両親のミュージカルへの想い。もらった愛。支えてくれる仲間。これらは、最初から全て自分の中にあったのだと。
 
 そして、かつて真先生(父親)から教えられた自分の名前に思いを馳せる。

「朝日奈の”朝日”は太陽……皆を照らす光だ」「”響也” 歌声を 想いを 人と共鳴して響かせてゆく どこまでも遠くへ」


 そこから、まさかのカードのスキルボイスと重ねて、両親への思いを告げるという演出。

「永久に誓います この気持ちが嘘ではないということを」
「同じ道を行き 同じものを見て そして同じ朝を迎えたい」「愛しています 姫」

 劇中で姫に向けての台詞を放ちながら、響也のモノローグは両親への思いに溢れている。名は体を現すがごとく、自分の思いを、遠く遠く離れた場所で観ているであろう両親へ届けようとするかのように。


「誇り(夢)を 敬愛する貴方のカンパニーを継ぎ 未来へと響かせていきます」


 夢色カンパニーの”夢”を未来へと響かせていくという誓い。これまでもらってきた全てのものを自分の血肉へ変えて、夢色カンパニーを作り上げるという覚悟。それを「PRINCESS KAGUYA」という、あえて相手役の”姫”が役者として存在しない作品で解き放たれる台詞と重ねるとは。

 また、その響也の演技をうけた、夢色カンパニーを一緒に作り上げていく仲間である皆の顔が凄いんです。劇中の皇子の顔じゃなくて、完全に夢色カンパニーのキャストの顔になっている。演技の内にある響也の想いを受け止め、覚悟を決めた顔に見えるのです。

 血のつながりなんて関係ない。朝日奈響也が作り上げる夢色カンパニーで一緒にやっていくぞ、という覚悟。それに呼応するかのように、夢色カンパニーと書いて”俺たち”と読ませる響也のモノローグ…… 憎い。憎い演出ださくまれん!!


 作中では響也の出自について誰に・どこまで語られているかは分からないのですが(少なくともまどかと蒼星は知っている)、でも、彼らのこの表情を見ると、恐らく全てを理解したうえで舞台に立っているなと確信が持てます。「誰の子とか関係ないんだよ。お前だから皆ついてきたんだ」という蒼星の台詞もありますし。

 このコミカライズは朝日奈響也の成長を描いていると書きましたが、このシーンを読んで「朝日奈響也の夢色カンパニー」が誕生した瞬間も描いていると思いました。これからが本当の彼らのスタートなのかなと。

 朝日奈響也の成長と、それに呼応するかのように、真の意味で誕生した朝日奈響也主宰が率いる新生夢色カンパニー。

 朝日奈響也の恋愛ドラマという原作を借りて、コミカライズはここまで描き切ったと思いました。

実は早々に伏線が仕込まれていた

 実は第7話前編で、早々にこの話のテーマについて伏線がはられていました。
 それは「PRINCESS KAGUYA」のリハーサルにおいて、中々皇子の役どころをつかめない昴とキャスト陣の会話です。


「すばるん 役のバックボーンを考えるんだよ(陽向)」「役が役であるための過去とか信念とかだね 生き方かな(蒼星)」
 

 散々語ってきたように、今回の話は朝日奈響也が朝日奈響也であるための過去と信念を見つめる話だったわけじゃないですか。生き方を問い直す話だったんですよ。そのテーマをさらっとこんな風に提示していたとは……! 

 私は、とにかく最初から最後まで一切無駄のない作品が大好きで、まさか夢色キャストのコミカライズでその感動を味わえるとは思ってませんでした。やってくれるぜ、さくまれん!!

原作で最も不足していた描写をしっかりと盛り込んでいる

 原作で唯一足りないと思ったもの、それは橘蒼星の存在です。

 これ、本当に勿体ないな~~~と思ったんですよ。
 以下、これまた過去記事からの引用なのですが、

多分ご両親が亡くなった響也のことを一番に支えたのは蒼星だと思うんですよね。 今でこそ笑ってご両親の思い出とか語ってましたが、あれだけ大切な家族の存在が急にいなくなってしまうって、中々立ち直れないですよね。その時は、まどかももちろんいないわけで。蒼星はきっと響也が胸張って前向いてカンパニーの主宰になれるようにめちゃくちゃ支えてあげたと思うんですよ。文字通り心の支えになっていたはずです。響也の苦悩も辛さも一番そばで見てきて誰よりも知っている蒼星だからこそ、常に自分よりも響也を先に立ててしまうんじゃないかと。そんな妄想しながら蒼星ルートやってると激しく萌えるんですが(それはまた別の話) そんな蒼星が、、響也のルートに全然出てこないというのが、ちょっと悲しくて(笑)それでいて、その蒼星の気持ちの1/10も気づいてないであろう響也の鈍感さがまた憎くてw

【夢色キャストプレイ感想】響也の恋愛ドラマ感想!響也本当に大好きだー!【ネタバレ注意】 - JKけんみは二次元がお好き


 とにかく、朝日奈響也を描くにあたって橘蒼星の存在は切っても切り離せないわけです。その描写が原作には足りない! そう、何故ならこれは恋愛ドラマだから~~~~! まどかとの恋愛が主軸だからぁぁ。致し方無いのだあぁぁ。

 という叫びを胸の内に秘めていたところへ、このコミカライズですよ。どうですか、奥さん。この橘蒼星の描かれっぷりは。完璧じゃありませんか。
 真面目な話、この蒼星の描き方は、原作を咀嚼し昇華した点で最も優れていると思いました。


 無断欠勤が続く響也の家へ、まどかと一緒に訪れる蒼星。合鍵をもって乗り込む蒼星。あ、合鍵だ……と……!? 憎い! 演出が憎い!
 
 そして響也と相対した蒼星の一言。

「どうして……! 俺に何も言ってくれないんだ……! 連絡もなしにどれだけ心配したか!」

 これ、原作を読んでいる全脚本家も同じこと思ってたよ。まさか蒼星自身が代弁してくれるとは!(スタンディングオベーション
 しかし、彼はまどかを残して事務所に帰ると告げる。

「……なにより響也は君を選んだ。 ずっと隣であいつを見てきたから少し寂しいけど…… 響也をよろしくね」

 悲しくも何かを悟ったような笑顔。胸がしめつけられるようじゃありませんか。


 響也と蒼星の関係性って、幼なじみでもあり親友でもあり仕事仲間でもあり家族のような存在でもあり……。全てを一緒に乗り越えてきた、一言では言い表せない関係だと思っていて、この二人もまさに、血のつながりじゃない深い絆で結ばれていると思っています。
 だから、まどかという存在へのちょっとした嫉妬というか、複雑な思いを、こんな風にカタチにしてくれるなんて思ってもいなくて、私は溜飲が下がりました。そうだよな蒼星、お前寂しかったはずだよな。

 そんな蒼星に対して、響也の「蒼星には俺の口から話す」という一言で、少し救われた感じがしました。ちゃんと響也なりに蒼星への思いを受け止めたんじゃないかと。この二人の関係性はこれからも続いていく、今まで以上に強い絆で。そんな風に感じさせる描写でした。素晴らしかった。

そして、朝日奈響也の恋愛ドラマが完成した

 響也の成長、新生夢色カンパニーの誕生、幼なじみの関係性を描いたコミカライズがこうして世に誕生してくれたことで、朝日奈響也の恋愛ドラマ第一部は完成したと思います。全方位で隙のない物語になったんじゃないでしょうか。
 こうやってメディアミックスが、原作の良さを引き出して、相乗効果で素晴らしい作品へと昇華するって、凄く理想の形だと思っています。

 私は常々、夢色キャストという作品は、それを形作る全てモノが「夢色キャストという一体感ある世界を作り上げている」と思っているのですが、このコミカライズもまた、世界観を作り上げる確かな一助だったと確信しました。


以下、徒然なる一言感想

 読んでいて感じたことを綴ったメモ書きのような。ライブ感をお楽しみください。※本記事を書くためのメモとしても機能


・二年前に両親が亡くなった。そうか、二年前ってこの作品では明示してたっけな
・恐らく幼稚園のお遊戯会かと思うが、猫の格好の幼い響也。犯罪的なかわいさだ
・舞台上をこの大きさ、この画質で切り取れる写真とは。いったいどのくらいの近さなのか。もしくはバズーカみたいな望遠レンズ構えていたのだろうか。朝日奈夫妻、尊い
・蒼星の音読を聞いている響也の顔。天使!! はわわ……(キラキラ)って顔かわいい
・若き仁さんすてき(やんちゃ感というか勢いがある)
・ちらりと映る野木さん。やはり古株
・努力を跳ね除ける。それだけの強さを持っている
・自ら光る恒星とはよく言ったものだな……。誰かを導いて照らすこともあれば眩しすぎて影を与えてしまう存在
・無断欠勤にしてないのよかった(音信不通にはなるんだけどさ)。どんな理由であれ、主宰が無断欠勤ってどうなのよ、と思っていた
・まどかが蒼星に声を掛ける。一緒に響也の家へ行く
・合鍵をもって乗り込む蒼星
・「どうして……! 俺に何も言ってくれないんだ……! 連絡もなしにどれだけ心配したか!」
・悟った顔で引き下がる蒼星
・「……なにより響也は君を選んだ。 ずっと隣であいつを見てきたから少し寂しいけど…… 響也をよろしくね」
・悲しい悟ったような笑顔
・蒼星には俺の口から話す という一言(=蒼星も響也の出自について知っている)
・前編から思ってたんだけど、こうのとりの家の前での写真、響也ちょっとでがすぎるよね。赤ちゃんくらいでよかったのでは
・響也の苦悩→手紙の流れはもっと情緒たっぷりでもよかった。いや、でもページ数を考えるとこれが限界か
・手紙の内容、それを読む描写は相変わらず最高である
・仁さんとカイトさんからの音源・振付DVDを集中してみる響也(かっくいい)
・「誰の子とか関係ないんだよ。お前だから皆ついてきたんだ」
・朝日奈の”朝日”は太陽……皆を照らす光だ
・”響也” 歌声を 想いを 人と共鳴して響かせてゆく どこまでも遠くへ
・スキルボイスと重ねて、両親への思いを告げるという演出
・同じ道を行き 同じものを見て そして同じ朝を迎えたい
・劇中では姫に向けてのセリフなんだけどね
・このセリフを言っていたときは、確実に両親への思いを乗せていっていたと思う
・その響也の演技を見て、みんなその思いを感じ取ったんだと思う
・誇りとかいて夢と読ませる
・夢色カンパニーの”夢”を未来へと響かせていくという誓い
・それを一緒に作り上げていく仲間……である(皆の顔がすごい……劇中の皇子の顔じゃないんだよなぁ…)
・この顔から、みんなも響也の出自について聞いたのかなと
・軌跡が奇跡になる瞬間………
・朝日奈響也主宰の夢色カンパニーになった瞬間であったのかと




 最後に。
 コミカライズを担当してくださっているさくまれん先生自身も夢色キャストの脚本家ということもあって、元々原作へのリスペクトが多分に感じられるコミカライズだと思ってはいたのですが、いやはや頭が下がります。朝日奈響也の恋愛ドラマをこんな風に描いてくれてありがとう! という気持ちでいっぱいです。
 
 こんな素晴らしい作品を世に生み出してくれたさくまれん先生に感謝します。
 文中、要所要所で呼び捨てにしていたのに他意はありませんので、あしからず。